〜商用声紋認証サービスの撤退が続く中、開かれた代替基盤を提供〜
Lifegence Corporation(ライフジェンス株式会社)は、音声認証技術を開発者向けに提供するオープンソースソフトウェア 「lifegence-voiceprint-api」 をGitHub上で公開しました。
本プロジェクトは、話者識別(Speaker Identification)/ 話者照合(Speaker Verification) をアプリケーションへ簡単に組み込めるAPIとして設計されており、車載アプリ、スマートフォンアプリ、コールセンター、AIアシスタントなど、多様な領域で活用できます。
■ 声紋認証サービスの撤退が相次ぐ現状
近年、主要クラウド事業者や音声AIプラットフォームにおいて、声紋認証(Voiceprint)機能の提供終了・縮小が相次いでいます。
具体的には:
- Microsoft Azure Speaker Recognition
- 2022年以降、声紋登録・話者識別など一部機能の利用が制限され、その後 提供終了(retired) が公式表明されました。
- コンプライアンス/責任あるAIの方針変更に伴い、音声バイオメトリクス領域を段階的に終了。
- Alibaba Cloud, Tencent Cloudなど中国系クラウドのVoiceprintサービス
- 一部地域で API提供停止 や サービスページ削除 が行われ、音声バイオメトリクスの継続提供が不透明に。
- 複数のスタートアップ系 Voice Biometrics API のサービス停止
- 資金難、AI倫理規制、B2B需要の縮小などを背景に、2023〜2025年にかけて複数社が 事業停止 または 新規受付終了。
- 特に欧州では GDPR の観点から音声バイオメトリクスの運用要件が厳しく、撤退が続く状況。
こうした流れにより、安定して利用可能な“声紋認証API基盤”そのものが希少 になりつつあります。
■ OSSとして声紋認証技術を提供する意義
このような背景を踏まえ、Lifegence は声紋認証技術をOSSとして公開することで以下を実現します:
- クラウド事業者のサービス終了リスクからの独立
- 自社環境(オンプレ/プライベートクラウド/エッジ)での自由な運用
- 透明性のあるアルゴリズム選択とカスタマイズ
- 音声AIプロダクト開発における長期的な技術基盤の確保
特に、将来的なサービス終了によって急にプロダクトが動かなくなるリスクを避けたい企業にとって、OSS は重要な選択肢になります。
■ 主な機能
- 声紋登録(Enrollment)
- 話者照合(Verification)
- 話者識別(Identification)
- Docker による即時運用
- Python ベースで拡張容易
■ GitHub リポジトリ
👉 https://github.com/lifegence/lifegence-voiceprint-api
■ 今後の展望
- 高精度モデルの追加
- エッジ/車載向け軽量化
- マルチテナント環境向けセキュリティ強化
- 音声AIプロダクトとの統合サンプル提供
Lifegenceは、今後とも、AIの普及や進化に貢献できる領域で様々なOSSを積極的に提供してまいります。ご期待ください。
